医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。
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認知症は460万人、予備軍は400万人いるといわれている。
認知症の多くを占めるアルツハイマー病は、脳の細胞の早期老化。ストレスや炎症が加わって、アミロイドβというタンパクのゴミみたいなものが神経細胞にくっついてしまう。このために脳細胞の働きが悪くなり、記憶障害などを起こすと考えられている。
京都大学のチームの発表では、魚などに含まれるDHAという油が、アミロイドβをはがすことができるという。
認知症は、脳細胞の炎症と関係していると考えられるようになった。抗酸化力が高いDHAやEPAなどオメガ3の油が、細胞の老化や炎症を防げると考えられるようになってきた。
DHAは、サンマやイワシ、カツオ、マグロなどの青背魚に豊富に含まれる。一杯飲んでいくときには、魚を注文できるような店がお勧めだ。
意外だが、DHAはサバやサンマの缶詰にも多く含まれるから、家飲みのときのおつまみにもよさそうだ。
オメガ3の油は、魚以外ではエゴマ油やクルミにも含まれている。
中鎖脂肪酸のMCTオイルや、ココナツオイルなどもいい油の1つと考えていい。
そのほか、認知症予防にはビタミンEやポリフェノールもいい。ビタミンEはカボチャ、アボカド、菜の花などに含まれる。
ほんの少し食べ物に注意することで、あなたの脳を10歳若返らせるかもしれない。こんなふうに、おいしい認知症予防を心がけてみてはどうか。
◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。