医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 女性は卵巣からエストロゲンという女性ホルモンが分泌されているが、ある年齢から急激に減っていく。そのために、冷や汗をかく、動悸(どうき)が起こる、などさまざまな更年期障害が起こる。個人差が大きく、これといって症状のない人もいれば、症状が重く、うつ病のようになる人もいる。

 男性の場合は、女性のエストロゲンに当たるテストステロンという男性ホルモンが40代から穏やかに減り続ける。女性と違って、減り方が穏やかで、ゼロには近づかない。だから、更年期障害は女性ほど大きくない。

 それでも、テストステロンが減少するために、勃起不全障害(ED)を起こしてしまうこともある。精神的に元気が出ない場合などは、テストステロンの補充をする治療法もある。

 しかし、テストステロンは前立腺がんを少しだけ誘発するともいわれているので、あまり簡単には使いたくないホルモン剤ではある。できれば食事の工夫で乗り切りたい。

 大豆に含まれるイソフラボンは、女性の更年期障害に少し効果があるといわれているが、男性にもいい場合がある。

 精子量を増やし、細胞の新陳代謝を促すには、亜鉛が必要である。男性の性欲にも関係する。和食は健康食として世界でも注目されているが、欠点があるとすれば、塩分が多いことと、亜鉛が少ないことだ。

 亜鉛を多く含む食品は、牡蠣(かき)、レバー、納豆、高野豆腐など。こういったものを意識して少し多めに食べることで、細胞の新陳代謝が進み、中年バテを克服できる可能性がある。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。