医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 超低カロリー食で飼育されたサルは、寿命が延び若々しかったと、ウィスコンシン大学が発表。1日1食飢餓療法などが流行した。しかしアメリカ国立老化研究所では、カロリー制限をしてもサルの寿命は延びなかったと発表。さて、どっちを信じたらいいのか。

 1日の総カロリーを減らそうと、朝食抜きダイエットをする人もいる。しかし、朝食を抜くとかえって脂質異常や肥満、糖尿病などの生活習慣病になりやすいというデータが出た。

 国立がん研究センターと大阪大学の共同研究で、45歳以上の健康な成人で朝食を抜くと、脳出血などの脳卒中が多くなるという研究結果が出た。具体的には、毎日きちんと朝食を食べているグループに比べ、脳出血が36%も高いことがわかった。脳梗塞もふくめた脳卒中全体でも18%高いという結果が出た。

 朝食を食べると何がいいのか。早朝、血圧が高い人が多い。空腹ストレスが副腎からコルチゾールやアドレナリンというホルモンを分泌させ、血圧を押し上げるといわれている。

 朝食を食べると、血圧が安定する。朝食を食べないと早朝高血圧が続いてしまう。

 また、やせるために朝食をとらず、昼食を食べると、食後の血糖値がスパイク状に上昇してしまう。急激な血糖値の上昇は、糖尿病を起こしやすくする。

 つまり、朝食抜きの毎日は、高血圧や高血糖を積み重ねてしまうことになり、それが動脈硬化を起こし、さらに脳卒中を多くするのである。

 だから、朝、起きたら1時間以内に朝食を食べたほうがいい。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。