医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 2015年10月、国際がん研究機関がソーセージなどの加工肉を毎日50グラム食べると大腸がんになるリスクが18%上がると指摘した。牛、豚、羊、ヤギの肉も週500グラム以上食べると大腸がんや膵臓(すいぞう)がんになる可能性があるという。

 消費者が反応して、加工肉の買い控えが起こった。だが、ソーセージを1日50グラム食べる日本人はそういない。1週間に500グラムもの肉を食べる日本人もそういない。ソーセージなどの加工肉も、肉も、ときどき食べるというのは、心配ないと思う。

 がんと関連する食べ物には次のようなものがある。国立がん研究センターによると、食塩の取り過ぎは胃がんを誘発する。日本酒1合、ビール大瓶1本までならいいが、それ以上の飲酒は肝臓がん、大腸がん、食道がんに影響を与える。熱いものも食道がんになりやすい。

 反対に、予防効果が期待できるのは野菜。野菜をたくさん食べると、食道がんが減ったり、胃がんが少し減る可能性がある。

 果物も食道がんを少し減らし、胃がんや肺がんをちょっと減らす。大豆は乳がんや前立腺がんを少し減らす可能性がある。

 魚は子宮頸(けい)がんを少し減らす可能性がある。女性が緑茶を飲むと胃がんを少し減らす可能性がある。コーヒーは肝臓がんを少し減らす可能性がある。

 日本食は炭水化物が多く、総カロリーの60%を占める傾向がある。魚や肉の量はあまり多くない。加工肉や肉を含め、週に2、3回肉や魚を食べるのはむしろ健康で長生きにいいと思う。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。