都内の風俗店に勤める20代女性は、性感染症の検査を定期的に受けている。「お店からいわれてしています。病気になると仕事にならないのでちゃんとやってますよ」とけげんな様子。利用しているのは、事業者から郵送されてくるいわゆる「検査キット」。店の責任者はこう話す。「女の子たちの検査を一括して頼む。異常があれば医者に行くように指導します」。こうした動きに懸念を示す向きもある。

 ある病院の勤務医で事情に詳しいA医師はこう話す。「検査結果は、あくまで個人的な情報。病気を理由に解雇されたりしないか心配だ」。

 ともかく性感染症に関する「郵送検査」はその数を増やし、いまや年間9万件を超えて保健所での検査数に匹敵するほどになっている。

 「こうしたサービスは2種類ある。ひとつは送られてきたキットで血液や唾液を採取して送り、その結果を後日知らせてもらうという方法。もうひとつは即日検査といって、キットを使い、自分自身で判定するというものです。どちらも自宅でできるし簡単なので売れているのです」(A医師)。

 厚生労働省研究班による郵送検査の実態調査で回答を得られたのは国内にある10社だという。

 「これらの会社が実施している検査の精度は決して悪いものではなかった、一定の信用がおけるといった評価があるのです。一方では、ネットで売買されている即日検査キットの多くは海外から送られてくるものが大半。その中にはニセモノがあったり、そもそも管理が怪しいものなど、品質が低いものが多い。あまりお勧めはしません」(A医師)。

 どちらにしても自己責任のもとに利用することを忘れずに。