<狭心症・心筋梗塞(4)>

 “突然死”に結びつく狭心症・心筋梗塞には、「薬物療法」「カテーテル治療」「バイパス手術」の3つの治療法があります。狭心症であっても、まだ軽度と診断された場合は薬物療法が行われます。その段階を超えたと診断されたり、急性心筋梗塞を起こしたりするとカテーテル治療、バイパス手術で対応することになります。

 ◎カテーテル治療 これは循環器内科で行われる治療。局所麻酔で脚の付け根、もしくは肘や手首の動脈から細い管のカテーテルを冠動脈の狭窄(きょうさく)部・閉塞(へいそく)部に挿入します。次に、カテーテルの先端からワイヤを伸ばして狭窄部を貫き、バルーンを広げると共に金属製の網目状のステントも広げ、バルーンを抜き取るとステントが留置されます。血管が広がった状態を確保できます。そして、今日主流のステントは「薬剤溶出性ステント」で、血管の細胞が増殖するのを抑える薬がステントに塗ってあります。その結果、血管の再狭窄が約40%だったのが、約5%程度にまで抑えることができるようになりました。

 ◎バイパス手術 全身麻酔をかけて胸を切開する手術で、心臓血管外科が行います。冠動脈が閉塞するとその先に血液は流れません。そこで、バイパスを作って血流を確保するのです。バイパスとして使われる血管は、胸骨の左右にある内胸動脈が最も適しています。それだけでは足りない場合、胃の動脈などが使われます。さらに、この手術には心臓を止めて人工心肺を使って行う「オンポンプ手術」と、心臓を動かしたまま行う「オフポンプ手術」があります。オフポンプ手術は患者さんの体に負担の少ない手術。私はすべてオフポンプ手術で行っています。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)