<不整脈(3)>

 「心房細動」は脈が速くなるタイプの不整脈の代表疾患で、患者さんは約120万人と推測されています。さらに続く高齢化に伴って、その患者数は右肩上がりと思われます。

 心房細動は脳梗塞や心不全に結びつく怖い不整脈なので、「動悸(どうき)」「脈の乱れ」「胸の痛み」「めまい」など違和感がある場合は、必ず循環器内科を受診し、まずは「心電図検査」を受けましょう。

 そして、心房細動と診断されると、治療は「薬物療法」と「非薬物療法」が行われています。基本的には、まずは薬物療法で経過をみます。使われる薬は「抗不整脈薬」「抗凝固薬」「抗不安薬」。抗不整脈薬には、「発作性の心房細動の再発を抑える薬」と「心拍数を減らす薬」があります。抗凝固薬は脳梗塞に結びつく血栓をできにくくする薬。抗不安薬はストレス性の不整脈に用いられる薬で、不安や緊張感を和らげます。これらの薬は患者さんの症状によって選択されます。

 薬での効果がなくなってくると、非薬物療法を行うことになります。これには「電気ショック療法」「高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼=しょうしゃく=術)」「バルーン法」などがあります。

 まずは、電気ショック療法。この治療を行う前には、抗凝固薬を数週間服用してから行います。1~3回程度の電気ショックで元に戻ります。ただ、これは一時的な治療で、根本的治療ではないことを知っておくことが大事です。患者さんの状態をチェックしながら、次の治療を考えていくことになります。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)