<心臓・血管を若々しく保つコツ(9)>

 食物繊維がしっかり取れ、その上、低カロリーで人気なのがシイタケ。そればかりではなく、シイタケから抽出した物質は抗がん剤にもなっています。さらに、心臓・血管病予防にも大きく貢献してくれます。血中コレステロール低下作用、血圧調整作用、血糖値安定作用などがあるのです。

 1週間、毎日60グラムのバターを摂取したグループと、同量のバターに85グラムのシイタケを食べたグループを比較。すると、前者は予想通り血中コレステロールが14%上昇しました。ところが、後者に上昇はなく、4%も血中コレステロールが低下したのです。

 これは、シイタケに含まれているアミノ酸の一種のエリタデニンの働きによるもの。悪玉のLDLコレステロールを減らし、善玉のHDLコレステロールを増やし、総コレステロールを下げるからです。つまり、動脈硬化予防が認められるのです。

 エリタデニンはシイタケとマッシュルーム特有の成分ですが、シイタケに、はるかに多く含まれています。肉料理なら、シイタケも一緒に食べると、心臓・血管に優しいといえるでしょう。

 ここまではシイタケに注目しましたが、他のキノコも低カロリーで、食物繊維が多く含まれています。食物繊維の良い点は、何といっても脂質の吸収を抑える点でしょう。加えて、食物繊維は便通も良くしてくれます。突然死は、トイレでのいきみでも多く起きています。それを予防するためにも、キノコは食卓に欠かせません。シイタケであれば、1日2個程度で十分でしょう。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)