★むせや口の乾燥、滑舌の低下にご用心

 中年になって、飲み物にむせるようになった、食べこぼしが多くなった、ということはありませんか。

 もしかしたら、口の機能が衰える「オーラルフレイル」の兆しかもしれません。

★「虚弱」は万病のもと

 フレイルとは、加齢とともに心身の活力が低下し、生活機能が障害される「虚弱」状態のことです。オーラルフレイルは、口の機能が低下すること。食べこぼしやむせなどのほかに、滑舌の低下、噛(か)めない食品が増える、口の乾燥などがあります。

 これらは日常的にありがちですが、放っておいてはいけません。口の機能が衰え、食べること、話すこと、脳への刺激など重要なことが阻害されます。

★口の衰えは死亡率が2倍

 東京大学高齢社会総合研究機構は65歳以上の2000人を対象に、「口の衰え」が体にどんな影響を及ぼすか調査しました。

 「残っている歯が20本未満」「噛む力が弱い」「舌の力が弱い」「舌を巧みに動かせない」「硬い食品が食べづらい」「むせやすい」といった6項目のうち、3項目以上該当したグループを、「口の衰え」があるとします。

 約4年間追跡調査すると、「口の衰え」があるグループは、該当項目ゼロのグループに比べて、死亡率が2・09倍、介護が必要になった割合は2・35倍でした。

★予防はよく噛み、楽しくしゃべり、カラオケがよい

 この研究をした東京大学の飯島勝矢教授は、口の衰えがあると、食事が偏ることで栄養不足になり、全身の筋肉が減るとともに、全身の身体機能の低下につながる、と述べています。

 よく噛み、おしゃべりをし、歌をうたうことなど、よく口を動かすことが大切です。