昨今は「××ハラ」ばやりですが、「スメハラ」って、知ってますか?

「スメルハラスメント」-。つまり、体臭や汗などの「におい」により相手に不快感を与えるものです。個人差はあるものの、女性のほうが男性よりにおいには敏感です。化粧品メーカー「マンダム」が、25歳から54歳の男女180人を対象に、男性の「汗臭」「ミドル脂臭」「加齢臭」について行った調査でも、すべてのにおいで男性より女性のほうがにおいを強く感じていた、と出ています。

さて、では「スメハラ」に至らないためにも、においを防がなければなりません。加齢臭を予防する手だてとして、まず「食事に気をつける」が挙げられます。肉はにおいになりやすく、野菜を食べることで加齢臭を防ぐことになります。加齢臭は活性酸素が酸化してできるため、その活性酸素を抑える抗酸化食品として、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールを含むパセリなどの緑色野菜や海藻が挙げられます。

また運動では、有酸素運動が効果的。しっとりとかく、水に近いさらさら汗はいい汗でにおいませんから、それで加齢臭を薄めればいいというわけです。ほかに、ストレスは活性酸素を増やすため、なるべくためこまないこと。入浴、洗髪をしっかり行うことも大事です。

直ちに汗を抑える方法もあります。バストの5センチ上を圧迫すると顔や頭からの汗が少なくなることがわかっています。自律神経の働きが整えられるからです。舞妓(まいこ)さんが、胸の上をひもできつく縛っているのも、顔から汗が出るのを抑えるためといわれています。また、腰のあたりを圧迫すると、下半身の汗が減少するようです。また深呼吸をして交感神経の高ぶりをしずめると、汗は少なくなるといわれています。

「スメハラ」は何も体臭だけが原因ではありません。女性がいい香りだと思っている柔軟剤や香水のきついにおいも、悪臭の対象になり得ます。また、離婚しやすい人の特徴として「相手を“くさい”と感じたら遺伝的に合わない証拠」とする調査結果まであります…。どうやら「スメハラ」の背景には、男女の嗅覚の「差」があるようです。

◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビ、ラジオでコメンテーターとして出演多数。テレビ朝日系の人気ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修をドラマ立ち上げの時から務め、今年10月に新シリーズを迎える。気分転換は週2回のヨガで、15年あまり継続。インスタグラムdoctormorita、ホームページmorita.proなどで情報発信中。