<18>『オン・オフなしで不眠症に』

長らく続くテレワークなどで、自宅で過ごす時間が昨年から長くなったという人が多い。通勤しなくてもいい点は便利で仕事を効率よく進められるといった声もある。だが、そんな働き盛りのテレワーカーに起こりやすいのが「不眠」だ。

「テレワークが浸透してくるにつれ、働き盛りの人が不眠を訴えるケースが増えました。仕事のオン・オフの切り替えがうまくできず、睡眠リズムが乱れて不眠症になる方がいるのです」と、杏林大学名誉教授の古賀良彦医師は話す。

睡眠障害やうつ病などの診断・治療・研究を数多く手掛け、産業医として会社員の診療も行う。

不眠症になると、入眠障害や中途覚醒などよく眠れない状態が1カ月以上も続き、倦怠(けんたい)感や集中力の低下、食欲不振など日常生活にも支障が生じる。そんな不眠症の原因のひとつに、睡眠リズムの乱れがある。

「睡眠リズムは生活リズムと連動しています。通勤していた頃とテレワークで生活環境が変わり、生活リズムが乱れたことが、睡眠に悪影響を及ぼすのです」

以前は、朝起きて出勤し、夜帰宅して食事・入浴のパターンがあったとしよう。テレワークでは朝起きて、スーツに着替えることもなく、机に向かって職務がスタート。夕刻に仕事が終わってもスマホに連絡が入るなど、私的な空間での仕事はオン・オフの区切りがつけづらい。それが生活リズムを崩し、睡眠リズム悪影響を及ぼすのだ。

「オン・オフのメリハリをしっかりつけることを意識しましょう」