『ちょっと食べ過ぎても生活習慣病になる』

コロナ自粛の楽しみのひとつである飲食で、それほど食べ過ぎていなくても、健康診断で高血糖や脂肪肝などを指摘されることがある。「体質だから仕方がない」とため息をつく人もいるが、今年2月、その体質のメカニズムの1つを解明した論文が発表された。

「もともとアジア人は、欧米人と比べて太っていなくても代謝異常を起こしやすい。その理由を探るため、日本人男性約100人を対象とした研究を行い、脂肪の質が重要であることがわかったのです」と、先の研究メンバーの順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学/スポーツ医学・スポートロジーの田村好史先任准教授が説明する。

脂肪組織は脂肪を蓄えて、必要な時に放出するのが役割。でも、この「脂肪貯蓄機能」が低下すると、蓄えることができない脂肪は、遊離脂肪酸となって血中に放出される。これが生活習慣病に関係するのだ。

「脂肪貯蓄機能は、従来肥満者で低下していると考えられてきました。しかし、太っていなくてもこの機能が低下してしまう人がおり、そのような人では軽度の脂肪肝、脂質異常症といった代謝異常を起こりやすくなることがわかったのです」

つまり、「それほど食べていないのに生活習慣病になった」というのは、脂肪の質が悪い可能性がある。質が悪いと、ためるべき脂肪を脂肪組織がためられないのだ。改善・予防のために、腹八分目を心掛けて、体重や体脂肪を減らすことを心掛けてみよう。