『当たり前の習慣で寝た切り原因を回避しよう』

コロナ禍で運動不足に拍車がかかると骨格筋量が減り、生活習慣病や認知症などの発症リスクが上がる。歩行困難も伴えば、いずれは寝た切りになりかねない。

「いつまでも自立した健康的な生活を過ごせる健康寿命を延ばすには、寝た切りの原因は回避することが肝心です」とは、順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学/スポーツ医学・スポートロジーの田村好史先任准教授。順天堂大学に07年に設置されたスポートロジーセンターでは、スポーツや身体活動をキーワードに、病気や健康との関わりについて多角的な研究を進めている。

「寝た切りリスクとして重要なものは、男性は脳卒中、女性は転倒・骨折です。いずれも運動と食事の改善により予防的な取り組みができます。コロナ禍では運動不足に陥りがちなので、ぜひ生活習慣を見直していただきたい」

脳卒中の原因は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病であり、運動習慣と1日3食ひとつの食材に偏らない食事内容が不可欠となる。高血圧の人は減塩も大切だ。一方、閉経後のホルモンバランスの変化で骨密度が減少しやすい女性は、骨がもろくなって転倒・骨折につながりやすい。カルシウムやビタミンDなどを含む食事、骨や筋肉を鍛えるための運動習慣が欠かせない。

「当たり前のような習慣でも、毎日続けることで将来の健康寿命を延ばすことにつながると考えられます。より良い方法について現在研究を進めています」