■骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症になると骨折のリスクが上がります。骨粗しょう症を原因として骨折すると、移動能力などの生活機能が低下するだけでなく、生命予後にも影響することが明らかにされています。

また椎体骨折の数の増加が死亡の相対リスクの上昇に関与することや、大腿(だいたい)骨近位部骨折による生存率の低下が報告されています。さらに、大腿骨近位部の骨密度の低下が死亡率の優位な上昇をもたらすことも明らかにされています。

このように、骨粗しょう症による骨折を生じさせないことは生命予後を考える上で非常に重要であり、適切な治療で骨密度を改善させることが大切です。

治療は、骨密度低下で骨粗しょう症と診断されるか、骨粗しょう症によると考えられる脆弱(ぜいじゃく)性骨折(尻もちをついただけなど軽微な外傷で生じる骨折)が生じた場合に開始されます。

治療法には内服から注射までさまざまな方法がありますが、整形外科や骨粗しょう症外来などで専門的な検査を行い、個々にあった治療を受けることが大切です。「骨粗しょう症の治療はいつまで続けるのか?」と患者さんからよく質問されます。

骨密度が十分に上昇すれば休薬することもありますが、治療をやめれば骨密度は低下していきますので、基本的には何らかの骨粗しょう症治療をずっと続けることが必要です。使用する薬として、重症患者さんにはより強力な薬を皮下注射で投与しますが、軽症であるほどマイルドな薬を内服することが多く、しっかりと専門の先生に処方してもらうことをおすすめします。