■慢性疼痛

腰痛、首・肩痛および膝痛が長く続いている方、いわゆる慢性痛(慢性疼痛=とうつう)の方はどの位いると思いますか。過去の研究をみると、日本での罹患(りかん)率(3カ月以上の痛みがあった人の割合)は、20歳以上の4万1597人で22・5%(矢吹ら2012年)、20~69歳の3万7280人で26・4%(小川ら2012年)と報告されています。

調査法が異なるために日本の罹患率と直接比較することはできませんが、世界中で慢性疼痛に苦しむ人は10~30%と言われています。それでは慢性疼痛とはどんな痛みなのか。

痛みは大きく急性疼痛と慢性疼痛に分かれます。急性疼痛は、けがや炎症性疾患など突然生じる痛みであり、傷んだところが修復されれば痛みは改善します。一方、慢性疼痛は通常は治る痛みがいつまでも長引く痛みで、3カ月以上続く痛みです。組織の修復期間を痛みの期間が超えてしまい、原因がはっきりしないこともよくあります。

また、加齢性変化の変形性関節症なども痛みの強弱の波があり完全にゼロにはならないことから慢性疼痛と言われます。前述のように約5人に1人が慢性疼痛に陥っていますが、痛みの部位は腰(約64%)、肩(約48%)、膝(約26%)、首(約20%)、背中(約20%)(矢吹ら2012年)と報告されており、腰と肩が圧倒的に多いことがわかります。

それではこれらの慢性疼痛を改善させるにはどうすれば良いのでしょうか。慢性疼痛に陥るのは、痛みのために痛い部分を動かさなくなることが原因の1つと言われています。次回は慢性疼痛の改善法についてお伝えします。