「奇跡の鎌田式ウォーキング」(家の光協会)という本を書きました。ぼく自身、歩き方を変えることで、血圧が下がり、膝の痛みや腰の負担が減り、不整脈の薬も要らなくなり、睡眠障害を克服することができました。自分がやっている歩き方を、1冊の本にまとめました。

忙しい人には「3分手抜き速遅あるき」がおすすめです。まず1分、幅広歩行。手を大きく振って、大股で歩きます。その後30秒ピッチ歩行。歩幅を普通に戻して回転数を上げる速歩き。そして30秒、腹式呼吸で呼吸を整えながらゆっくり歩きます。このとき副交感神経を刺激することが大事です。最後の1分は、また幅広歩行です。

歩数が多いほどいいと思いこんでいる人がいるが、それは大きな間違いです。

<歩幅が狭いと認知症発症リスクが5・8倍>

歩行速度が低下するほど、認知症リスクは上がります。歩くときに、歩幅を広げた歩き方や回転数を多くして速歩きを心がけることが、歩数よりも大事だということです。

認知症発症の12年前から歩行速度が低下して、MCI(軽度認知障害)になると言われています。今から速歩きを始めることが大事です。

医師で作家の鎌田實氏「85歳の壁 突破への極意」/連載一覧