ぼくは外来で、認知機能が少し低下した人などに、スクワットをするよう指導しています。筋肉と脳は相関関係があり、ぼくは勝手に「筋脳相関」と呼んでいます。

<筋脳相関>

筋肉への強い刺激は、脳を覚醒させます。筋肉を動かすと、その刺激が脳幹網様体に伝わり、脳を目覚めさせるのです。

筋肉を動かせという脳からの命令は、運動神経を通して筋肉に届きます。重い負荷がかかる筋トレは、感覚神経を通して、筋肉の疲労として脳に伝わります。感覚神経が回復すると認知機能も向上して行くのです。

<自重運動が大事>

「鎌田式『スクワット』と『かかと落とし』」(集英社)は14万部、「疲れない太らないボケない60代からの鎌田式ズボラ筋トレ」(エクスナレッジ)は15万部のベストセラーになりました。

自分の体重を利用したスクワットやかかと落としなどの筋トレは、フレイルや認知症を予防し、血圧を下げ、血糖値を下げ、がんのリスクも減らしてくれるのです。

<ワイドスクワット>

<1>背筋を伸ばして足を開き、つま先を開いて立つ。

<2>両手は胸の前で組む。腹筋と背筋を意識し、ゆっくりと太ももを外に開きながらひざを曲げる。

<3>太ももが床と平行になるくらいまで、ゆっくり沈み込ます。

書影のイメージで10回繰り返しましょう。

医師で作家の鎌田實氏「85歳の壁 突破への極意」/連載一覧