オランダで7万6000人の新型コロナウイルス感染者を調査した結果、8人に1人が後遺症があることがわかりました。味覚障害や嗅覚障害が有名ですが、認知機能にも問題が起きていることがわかってきました。

<脳の霧ブレーンフォグ>

新型コロナに感染した後、脳に霧がかかったような状態で、ぼーっとして何を言われているかわからなくなることがある、という後遺症を訴える患者さんが多くいます。いろいろなことに無関心になってしまったという人も多い。

<アパシーに似ている>

最近の出来事が思い出せない。物事を表現する時に適切な言葉が出てこない。集中力が途切れる。そのような症状を「脳の霧(ブレーンフォグ)」といいます。感染後、慢性炎症が続き、アルツハイマー病患者の脳内と同様の炎症が起きている可能性が高いと言われています。認知症の初期段階にアパシーというのがあります。無関心、無感動。これとよく似ています。

ワシントン大学公衆衛生研究所の発表によると、新型コロナ患者15万人と感染していない563万人を解析した結果、感染した人は感染していない人に比べて、認知機能に障害が出るリスクが1・7倍上昇。認知症の1つであるアルツハイマー病を発症するリスクは、約2倍上昇するということです。

新型コロナウイルスは、インフルエンザと同じという人もいますが、死亡率や後遺症のことを考えると、できるだけ感染しないことが大事なのです。

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