この国が直面している大きな壁の1つ、それは人口減少でしょう。出生数が22年、80万人をついに割ってしまいました。予想をはるかに超えるスピードで人口減少がおきています。

子育てはもう終わった、自分にはあまり関係ないと思われる人もいるかもしれません。しかし、このまま人口減少が今のスピードで起きてしまうと、消費者人口も減り、ものが売れなくなっていきます。そして生産人口も減って、日本はものづくりができない国になってしまいます。GDPも落ちていきます。高齢者を支える医療保険や介護保険の制度も崩壊します。病気をあまりしない若者がいることで医療保険制度は成り立っています。40歳以上の人が介護保険料を払ってくれているので、高齢者の介護は安心できるのです。

<子ども子育て市民委員会>

今度は、子供を産み育てる若者たちを支え、子供が生まれやすく育ちやすい環境を作ることによって、自分たちの医療や介護や国の経済を守ることができるようになると考えました。

子ども子育て市民委員会を作り、政治家を呼んでシンポジウムなどを行ってきました。3月末には首相官邸で、子ども政策のために大切なことを提言してきました。仕事と子育ての両立支援。女性の働きやすさ改革。産婦人科の充実。正常分娩(ぶんべん)を含めた出産の保険適用などを唱えました。数日後、出産の保険適用を検討するという方針が出されました。

人口減少の壁を打ち破るためには、社会全体で支え合う意識の改革が必要だと思います。(医師で作家・鎌田實)