エクソソーム(幹細胞培養上清液)治療は将来医薬品として、または再生医療製品として使われる、の2つのケースが生じるでしょう。ご存じのように、医薬品としての開発には莫大(ばくだい)なコストがかかります。幹細胞培養上清液から最新機器を利用してエクソソームだけを抽出し臨床試験を始めた医薬品メーカーが現れたと業界通の方から聞きました。これで今すぐではありませんが以前私が紹介した医学論文で行われている研究内容が我々にも投薬治療として受けられる時代がきます。

しかし10年以上の研究や治験(承認を取るための厳格な臨床試験)100億円以上かかると言われるコストなど解決しなければならないことも多いようですが承認が取れれば保険適用になると思います。QOL(生活の質)向上を目的とした再生医療製品としてのエクソソーム治療は、最近では人気のテレビ番組で取り上げられて知名度が一気に上がりました。夢の治療薬のような扱い方です。これはいかがかと私は思います。

我々医療機関にいろいろな幹細胞培養上清液の売り込みが来ます。残念ながら、まだ国の規制法がまだ定まっていませんので我々は何を基準に購入すればよいかわかりません。2014年(平26)に制定された再生医療法には幹細胞培養上清液については述べられていないので、現在は野放し状態です。怪しげな海外からの幹細胞培養上清液がちまたでは出回っているようです。

早期の国による規制法施行を望みます。早くみなさんが安心してこの治療をうけられるようになり、QOL向上を実感していただきたいですね。(おわり)

◆都筑俊寛(つづく・としひろ)コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京院長、フランス国立神経学研究所客員教授、医学博士、日本耳鼻咽喉科認定専門医。01年よりいびき、鼻アレルギーに対するレーザー日帰り治療に特化を始め、レーザー日帰りいびき手術の総件数は2万4000例を超える。現在はエクソソームを活用した老人性難聴の治療や難病の予防、QOL改善にも取り組んでいる。