体重が増えて、血糖値や血圧などが高くなれば、心筋梗塞や脳卒中のリスクは高くなり死亡率も上がる。「太りすぎは不健康につながる」とわかっていても、仕事の合間の昼食をガッツリ食べ、仕事帰りの一杯でもつい食べ過ぎることはありがちだ。

厚労省の2019年「国民健康・栄養調査」によれば、肥満と判定されるBMI(体重キロ÷身長メートルの2乗)=25以上の男性で、食習慣の改善に「関心がない」「改善するつもりがない」と回答した人が約4割もいた。

「改善した方がよいことは理解していても、ご自身では食欲をコントロールできないケースはよく見られます。しかし、それはご本人が悪いわけではありません」と、東邦大学医療センター佐倉病院糖尿病・内分泌・代謝センターの齋木厚人教授。難治性の肥満症治療を数多く手がけている。

「医師の指導の下の減量がうまくいかない場合には、うつ病などのメンタル不調を抱えていることが珍しくありません。うつ病の人はBMIが高い人ほどに多く、うつ病と肥満には双方向性の関係が見られるのです」

つまり、がんばっても痩せられないのは心の不調も関わっている可能性がある。1人で解決するのは難しく、放置すれば症状は悪化の一途をたどる。早い段階で、メンタルも含め総合的な肥満症治療を行う医療機関を受診することがなにより。

「1人で肥満や体調不良を抱え込まないようにしましょう」と齋木教授はアドバイスする。