肥満で生活習慣病を合併していると心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる病気のリスクが上がる。日本人の体重の基準は、BMI(体重キロ÷身長メートルの2乗)「22」で、「25」以上は肥満、「35」以上は高度肥満になる。身長170センチの人が体重102キロになるとBMI「35」。

「高度肥満は、なんらかの健康障害を有する人がほとんどです。ただし、意外に血糖値は上がりにくく、そのため病気と考えずに放置し、数年後に腎不全に陥るケースも珍しくはありません」と、東邦大学医療センター佐倉病院糖尿病・内分泌・代謝センターの齋木厚人教授。高度肥満症治療のエキスパートで、難治性の患者を数多く診ている。

たとえば、身長170センチ体重が102キロでBMIが「35」でも、2型糖尿病の指標となる血液検査のHbAlc(過去1~2カ月の血糖の平均値)が、6・3%の境界域にとどまる人がいる(6・5%以上が2型糖尿病の疑いが強くなる)。

「糖尿病では、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンの作用が低下し、脂肪細胞がブドウ糖を取り込めず、高血糖になります。逆に高度肥満の方は、インスリン作用が高いため血糖値は上がりにくいのですが、脂肪細胞は大きくなって体重が増え、腎機能は悪くなります」

肥満は慢性腎臓病と相関し、高度肥満になると腎機能が低下し、数年で腎不全に至るようなことも珍しくない。やはり、高度肥満の放置は危険だ。日本肥満学会認定の肥満症専門医にまず相談を。