日本の糖尿病患者数は予備軍を含めて1370万人。50代以降、患者は男女ともに急激に増える。

「2型糖尿病の引き金は、血糖値をコントロールするホルモン・インスリンの効きが悪くなることにあります。これをインスリン抵抗性といいます」と、東邦大学医療センター大橋病院糖尿病・代謝・内分泌内科の上芝元教授。内分泌ホルモンの研究を数多く手がけ、2型糖尿病と男性ホルモンの関係についても、長年研究を行っている。

「インスリン抵抗性になると血糖値が上がり、インスリンの血中濃度が高くなる高インスリン血症を引き起こします。すると、インスリン抵抗性がさらに強まる悪循環を招くのです」

ご飯やパンなどの炭水化物は、体内でブドウ糖に変わる。砂糖もしかり。細胞にとってブドウ糖は栄養源なので、インスリンが分泌されると、それを合図に細胞がブドウ糖を取り込む仕組みがある。食後に血糖値が一時的に上がり、インスリンが分泌されて血糖値が下がる。これが正常な状態だ。ところが、インスリン抵抗性になると、細胞がブドウ糖をうまく取り込めなくなる。血糖値が高いままなのでインスリンがさらに分泌されて高インスリン血症へ。インスリン抵抗性と高インスリン血症が続くと2型糖尿病になる。

「インスリンの感受性には、男性ホルモンのテストステロンが関わります。テストステロンが低下しているとインスリン抵抗性を起こしやすいのです」と上芝教授。

50代以降に突然血糖値が高くなり始めたら、テストステロン低下のサインかもしれない。