『気合を入れる飲料に注意』

師走は、仕事の追い込みに加え忘年会なども重なり、一晩寝ても疲労感が抜けないことはある。仕事を休みたくても正月休みが控えていると難しく、気合を入れるために、甘いコーヒー飲料や疲労回復の栄養ドリンクなどを活用する人もいるだろう。しかし、飲み過ぎには注意が必要だ。

「血糖値が高め、あるいは、糖尿病とすでに診断されている方が、甘い飲料をたくさん飲むとペットボトル症候群に陥る可能性があります。栄養ドリンクはスティックシュガー6~7本分の糖分が含まれるので、飲み過ぎには注意が必要です」とは、東邦大学医療センター大橋病院糖尿病・代謝・内分泌内科の上芝元教授。内分泌ホルモンの研究を数多く手がけ、糖尿病の診断・治療で多くの人を救っている。

「ペットボトル症候群は、糖質の多い飲料を多量に飲むことで、急激な血糖値の上昇によって、激しいのどの渇きや多尿、吐き気、脱力感などを引き起こし、重篤になると意識障害や昏睡(こんすい)などにもつながります」

飲料で一気に高血糖状態になると、血糖値をコントロールするホルモン・インスリンの効きが悪くなり、分泌量も減る。細胞がエネルギー不足に陥るため、代替えのケトン体という物質が作られる。その結果、血液が酸性に傾くことで身体に異変が及ぶのだ。命に関わる事態を招くのでご用心。

「飲料は口当たりがよいのでつい飲み過ぎてしまいがちですが、糖質が入っている飲料は1日1本まで。なるべく糖質ゼロの製品を選びましょう」と上芝教授はアドバイスする。