大腸がんの早期発見に欠かせない「大腸内視鏡検査」-。ただ、そこで気になることもあります。

それは、“大腸がんが見逃されることもある!”という事実です。それには、理由が3点あります。<1>「平たんながんが見逃されやすい」、<2>「大腸の大きく曲がっているところが見逃されやすい」、<3>「肛門のところが見逃されやすい」です。

<1>「平たんながんが見逃されやすい」 大腸がんには、隆起したりくぼんだりしていない平たんながんがあります。内視鏡医として経験を積んでいないと見逃すことがあります。

<2>「大腸の大きく曲がっているところが見逃されやすい」 大腸の大きく曲がっているところは2カ所。1つは、右下腹部の盲腸から上昇する上行結腸が横行結腸に曲がるところ。もう1つは、横行結腸が左で下行結腸に曲がるところです。その曲がる内側の確認が難しく見逃されやすい。内視鏡の先端から空気を入れて膨らませたり、空気を抜いたりしながら確認します。その時に、内視鏡の先端に装着しているアタッチメントというひだをめくるための器具で、見えにくい部分を手でめくるようにして死角を少なくして見ていきます。

<3>「肛門のところが見逃されやすい」 肛門のところまでくると“もう検査は終了”と思ってしまうと、肛門の内側の影になる部分を見逃したりすることがあるのです。ここは最後の最後まで、私たち医師は気を抜かずに検査を行う必要があります。

このような見逃しを抑えて検査を行っている優秀な医師を知る指標として、「ADR(アデノーマ・ディテクション・レイト)」があります。これはクリニックが患者さんの腫瘍をどの程度発見したかが分かる数値。例えば、大腸内視鏡検査を100人に行って、そのうち何人の患者さんに腫瘍性病変を発見できたかのパーセンテージです。40~50%というところもありますが、少なくとも30%を目安にして受診を考えると良いと思います。クリニックのホームページに出ていたりしますので、確認してみてください。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)