プロ野球は4月24日の開幕を目指し約1カ月の調整期間に入る。五輪の中断期間を念頭に、例年より早い開幕を見据えて仕上げてきたが、頭になかった仕切り直しを求められる。初めての経験であり、シーズンの結果でしか正解は測れない。

レギュラーを張る選手は、シーズンの「サイクル」が体に染み付いている。開幕して、交流戦に入り、球宴を挟んで、勝負の夏場を迎える。節目をうまく使って調子のバランスを取りながら、トータルで数字を残す。そのサイクルは通用せず、いつもと同じ感覚で入ると失敗する可能性が高い。レギュラーですら難しい調整を強いられるのだから、若手が開幕に合わせるのは非常に困難。チームのマネジメント力が問われる。

特別なシーズンとなった今季、優勝を狙っていく上で絶対に外せないポイントがある。開幕して1カ月間のスタートダッシュだ。日程が詰まり、心技体を整える節目が削られていく。好スタートを切ったチームが抜け出す可能性は、例年より高い。つまり、この1カ月の使い方が優勝の行方に大きく関わっている。

もう1点、例年以上に戦力の厚みが順位に直結していく点も挙げたい。夏場以降、タフな連戦となることは間違いない。投打とも枚数が必要で、1ポジションに2枚のレギュラー格がいるチームが浮上する。逆にレギュラーの能力が高くても、2番手との差が大きいチームは失速する恐れが例年より大きい。12球団がどんなプロセスを踏んで開幕を迎えるか。その過程をチェックし、予測がつかないシーズンを待つ。普段では味わえない楽しみでもある。(日刊スポーツ評論家)