プロ初先発で甲子園デビューした、阪神ドラフト3位桐敷拓馬投手(22=新潟医療福祉大)が4回1安打無失点の好投で、開幕ローテ入りを強烈にアピールした。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(38)が新人左腕の投球を解説した。
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桐敷投手は快投の裏で、一流打者の厳しさを体感したのではないでしょうか。4イニングでわずか1四球。ただ、この1四球で食らったダメージは決して小さくなかったはずです。
1回表、1番西川選手を2球で追い込んでから苦しみました。外角低めボールゾーンのスライダー、フォークを難なく見逃され続け、最後は歩かせたのです。西川選手はもともと選球眼の良い選手。キャンプ中の実戦であれば空振りを取れていたボールでしたが、経験値の高い選手たちは簡単には手を出してくれません。2回には6番鈴木大選手にも外角低めの変化球を2球連続で見逃されました。
プロでは早々に配球パターンを研究し尽くされます。誘い球に乗ってもらえないケースはさらに増えていくでしょう。今後は「ボール球を振ってくれない打者」を打ち取る術も身につけなければなりません。たとえばストライクゾーン内の低めいっぱいで選球眼の良い打者を反応させた上で、曲げたり落としてゴロを打たせる。このような1球で仕留める方法にも磨きをかければ、より球数を少なくイニングも伸ばせます。
プロ1年目から先発ローテで回り続ける力がある投手だけに、早い段階で新しい引き出しをどんどん作ってほしいと思います。
(日刊スポーツ評論家)