阪神はヤクルトに敗れはしたが、このカードを2勝1敗で終えたのは御の字だった。もちろん3タテを食らわすことができれば言うことなしだが、カード勝ち越しで十分だった。

そんな痛くもかゆくもない1敗だったが、特筆すべきは、7番坂本の打撃内容だ。2回1死。ヤクルト先発高橋の1-1からの3球目、球速150キロのストレートを左中間スタンドに運んだ。

これまでシーズン2本塁打がやっとだったのに、これが今季7本目のホームランになった。しかもオールスター明けは5本目の“量産”ぶりだ。「なぜ?」に答えるため、余計に目を凝らしたわけだ。

そういえば球宴に出場した阪神坂本は、巨人坂本に「なぜ左投手を打つときにゴロにならないのですか?」と質問したという記事を読んだ。巨人坂本はゴルフのドライバーにたとえたようだ。

わたしが打撃コーチだった当時から知る坂本は、トップの位置から、きれいにダウンスイングすることを意識するタイプだった。つまりボールを上から“点”でたたいた。それがここにきて変化している。

後半戦の坂本のバッティングは、今までと違ってバットをボールに入れる軌道が“線”になっている。本人に確認していないからわからないが、わたしに言わせれば、阪神坂本はどこかの瞬間にハッと気付いたのかもしれない。

“点”から“線”へ。だからといって森下、佐藤のように長距離打者になるかと言えばそうではない。伏見、梅野らとも切磋琢磨(せっさたくま)しながら、坂本の変身ぶりが、さらにチーム好影響を及ぼすかもしれない。(日刊スポーツ評論家)

阪神対ヤクルト 2回裏阪神1死、高橋奎二(左)は坂本誠志郎に先制ソロ本塁打を浴びる(撮影・上田博志)
阪神対ヤクルト 2回裏阪神1死、高橋奎二(左)は坂本誠志郎に先制ソロ本塁打を浴びる(撮影・上田博志)