世界で初めて野球場内にできる温泉とはどんなものになるのか。23年春に、日本ハムが北広島市に開業する「北海道ボールパークFビレッジ」内の球場「ES CON FIELD(エスコンフィールド)HOKKAIDO」。外野席上段に設置される予定の天然温泉について、温泉浴の研究を行う札幌国際大・大塚吉則特任教授(65)ととともに、魅力に迫った。

笑顔をみせる札幌国際大の大塚特任教授(撮影・山崎純一)
笑顔をみせる札幌国際大の大塚特任教授(撮影・山崎純一)

裸で野球観戦!? 全国の有名温泉地100カ所以上をまわった大塚特任教授も驚いたという。「すごいところに作るな、と。そういう印象ですね。レジャー目的として、(野球場の)中に温泉を作るというのは日本人的。日本人はそういうのが好き。観戦しながら入れるからいいと思う」と、楽しみにしている。

では一体、どんな温泉になるのだろうか。同教授は、同じ北広島市内にある竹山高原温泉などを例に挙げ、「大体1000~1500メートルくらいを掘って出していることが多い。(周辺は)アルカリ性単純温泉が多いので、そうなるかもしれないですね」と言う。

アルカリ性単純温泉の特徴は成分が薄く、病後の回復や療養に最適とされる。「老若男女問わず誰でも入ってゆっくりのんびりできますよ。アルカリ性だから、つるつるしていて汚れも落ちやすかったりもする」。ボールパーク建設地から車で10分ほどに位置する、北広島クラッセホテル内の天然温泉「楓楓(ふうふう)」の担当者も、「当館自慢の温泉は美容効果も期待できるモール系の天然温泉です。日々、地元北広島のお客様が集う憩いの場となっております」と、自信を持っている。

北広島市役所内に展示されている日本ハム新球場の模型
北広島市役所内に展示されている日本ハム新球場の模型

だが平均3時間を超えるプロ野球の試合を、ずっとお湯の中から観戦することは不可能。そこで同教授は攻守交代時をうまく利用することをおすすめする。「出ると(体は)冷えるし、入ると温まる。繰り返すことで体がより温まりやすくなる。よくある交代浴の効果はあるかもしれない」。血管の拡張と収縮で疲労回復などに効果があるとされる入浴法が、試合のリズムに合わせて行うことができる。

また熱の入る試合終盤は、お湯から上がって声援を送ることを勧める。「おそらくリクライニングシートなんかもあるでしょうから、ゴロゴロしながら観戦するとリラックスできるかも」。入浴後にリラックスタイムを取ると、体が十分に温まって湯冷めがしにくくなるという。「そうすると帰りも風邪をひかずに済みますしね」。お土産にはやはり温泉まんじゅう。「日ハムまんじゅうなんて喜んで買っちゃう。その場でふかしたようなものがあればね」。夢は、膨らむ。【特別取材班】

日本ハムのボールパーク建設予定地(20年3月3日撮影)
日本ハムのボールパーク建設予定地(20年3月3日撮影)

◆大塚吉則(おおつか・よしのり)1955年(昭30)2月17日、旭川市生まれ。79年北海道大学医学部を卒業し、同大学病院第一内科に入局。米国へ留学後、91年同大学医学部付属病院登別分院への赴任をきっかけに、温泉浴に関する研究を始める。08年には温泉関連功労者表彰(環境大臣表彰)を受ける。著書は「温泉療法-癒しへのアプローチ-」など。現在は同大名誉教授及び札幌国際大学特任教授として「人のからだと健康」などの講義を行う。趣味はコンピューターゲーム。