どこまでも勝利を追う。阪神木浪聖也内野手(25)の連続試合安打が「13」で止まった。6日広島戦(マツダスタジアム)では無安打に終わり、言葉少なに球場を後にした。

同期入団の近本と1、2番コンビを組み「キナチカ」として虎を引っ張る。先に近本が樹立した球団新人記録の13試合連続安打に並んだ日は「あまり意識はしていなかったけど、(近本に)負けたくない気持ちはある」と赤裸々に語った。ただ「それよりも、勝ちにつながる1本を出したいと思っています」と、常に勝利を追う気持ちが強い。

記録がストップした6日から、一晩明けた7日広島戦の試合前。打撃練習を終えた背番号0の表情は、いきいきとしていた。「今日が大事。頑張るよ!」。個人記録よりも、CS争い-。1番打者としてチームを勢いづける準備ができていた。

ヒットが出る喜びは、誰よりも知っている。オープン戦で12球団最多の22安打をマークするなど、想像以上に打ちまくり、関西スポーツ紙の1面を華やかに飾る日々を過ごした。絶好調で開幕スタメンを実力で勝ち取った男だが、春先に苦しんだ。開幕から18打席無安打-。スタートでつまずいた。

「ここまで打てなくなるのか…って、正直に悩んだときもあった。(周りの)先輩から、『開幕したら違うぞ』と、言われていた。もちろん、考えてはいたけど、初めての開幕で『どうなのかな?』と思っていたら、あんな感じで…。調子も状態も、全然悪くはなかったけど、ヒットが出なかった」

2軍落ちも経験。酸いも甘いも知っている。「プロ1年目で(試合に)こんなに出させてもらっている。なかなかできない経験をさせてもらっている。ミスもあったり、2軍落ちもあったけど…。自分の中では全て良い経験です」。2軍降格時は、虎風荘で「競争に勝つ」と目標を掲げ、野球しか考えない日々を過ごした。「落ち込んでいてもダメなので。前を向いて」。言葉のひとつから、気持ちの強さが伝わってくる。

記録の途切れた翌日は、初回の先頭打者として14球も粘り、中前打で出塁した。一塁ベースでは左拳を突き上げる。ガッツあふれる木浪が、新たな始まりを、ここに刻んだ。【阪神担当 真柴健】