新ルールが導入されたMLBでは、今季から極端な守備シフトが禁止された。過去数年、打球傾向のデータ分析が進み、特定の打者に対し、内野手を片側に3人配置するなど、安打ゾーンを防ぐ策がメジャー全体に浸透。打率低下が顕著になったこともあり、守備位置が制限された。最終的に打率は上昇するのか。ここ数年のシフトの使用率やそれが与えた影響、また今季の打率にはどのような効果があるのかを検証。エンゼルス大谷翔平投手(28)が、3割に到達する可能性は高まるのだろうか-。
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3月30日の開幕戦「アスレチックス-エンゼルス」で、大谷は右前へ今季初安打を放った。二塁手の脇を抜けた打球は、昨季までであれば一、二塁間に内野手3人を配置する「大谷シフト」の守備範囲内だった。その後も一、二塁間を抜ける安打が増えるなど、シフト禁止の影響は随所に見られるようになった。
逆方向への強い打球が多い大谷とはいえ、開幕前の段階でシフト禁止に伴う変化は想定していた。「これまで左打者が不利過ぎた。これでイーブンになるかと思う。投球に関しては、僕にとってイーブン。逆に投げる時には配球を考えながらやらないといけない」。大谷だけでなく、レンジャーズ・シーガー、ツインズ・ギャロら引っ張り傾向の強い左打ちのスラッガーは、打率が上昇するものとみられている。
もっとも、必ずしも投手に不利に働くとは限らない。かつてヤンキースなどで活躍した黒田博樹は、シフトが広まり始めた当時、率直な投手心理を口にした。「シフトに助けられることもあるが、打ち取った当たりが安打になる方がショック。キッチリ打たれれば、安打になっても納得できる」。ゴロアウトの多い投手にとっては、シフトを意識せずに投げることで、好循環を生む可能性もある。
過去数年の「投高打低」は変化するのか。大谷は自身初の打率3割について「そればかりはやってみないと分からない」と言う。昨季、打率3割に到達したのはわずか11人。現時点で24人に増加している要因が、シフト禁止の影響なのか。シーズン終了後に判明するはずだ。【MLB取材班】
◆守備シフトの制限 投手がボールを投げる瞬間まで、内野手は外野の芝より内側で、二塁ベースを挟んで左右に2人ずつ位置を取るよう規定された。
■大谷昨季より2分1厘上昇
近年は極端な守備シフトが急増し、打率低下が問題視されていた。MLB公式サイトのシフト制限の項目には「インプレーの打球の打率上昇」「伝統的な打球結果の復活」などが目的と明記されており、今季ここまでの約1カ月で効果が出ているのか確かめる。
データ計測が始まった16年は、全打席のわずか13・6%しかシフトが敷かれていなかった。しかし19年は25・6%、20年は34・1%と増加。21年は30・8%で、昨季も33・6%と高かった。特に左打者相手では55%と、半分以上の打席でシフトが敷かれた。
今季メジャー全体の打率は2割4分8厘。昨季の同時期は2割3分2厘で、1分6厘も上昇した。特に左打者は昨季の2割2分9厘から2割4分4厘に上昇。ゴロの打率も同様に昨季の2割3分2厘から2割4分8厘に上がっている。
エンゼルス大谷は昨季666打席中576打席(約86・5%)でシフトを敷かれ、MLBで最もシフトの影響を受けた打者の1人と言える。大谷は昨季、シフトありの打席で打率2割7分1厘。定位置、もしくは今季の制限に入らない右寄りの守備の場合は2割8分8厘で、1分7厘の差があった。さらに今季は打率2割9分4厘で、シフトを敷かれた昨季の打率よりも2分1厘上昇している。18~21年でも19年を除いてシフトなしの打率の方が高く、今季からの「シフト制限」では大谷を筆頭とした強打者が恩恵を受けられそうだ。【山下翔悟】






