千葉ロッテマリーンズの応援歌はなぜ心に残るのか-。今季から担当記者となり、開幕してから1カ月半。知らず知らずのうちに、応援歌を口ずさみたくなるようになってきている。音楽評論家であり、マリーンズファンのスージー鈴木氏(57)による解説第2弾です。【取材・構成=星夏穂】
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「魔曲」と言えば、智弁和歌山の「ジョックロック」が有名だ。チャンステーマで同校が甲子園で見せる集中打にマッチする。
今季、プロ野球にも「魔曲」と呼ばれつつあるメロディーが生まれた。前DeNAで今季からロッテに加入したネフタリ・ソトの応援歌は、スローテンポから始まり、その不気味さが他の応援歌と一線を画す。SNS上で「威圧感がすごい、魔曲すぎる」と話題になり「ネフタリ教」もトレンド入りする。スージー鈴木氏は「(魔曲がかかると)何々が勝つ、逆転するというのは、科学的に証明できるものではないと思います」と前置きした上で、曲調を解説してくれた。
「なかなか球場でかかるメロディーじゃないです。通り一遍の単調なリズム感の応援からすると、ああいう不思議なスローテンポのメロディーは珍しい。不思議な、音楽のルールから逸脱した音使いで。その不気味さは面白いですね。ソトが発奮するかは分からない。でも球場全体が不思議に盛り上がる、何かポジティブな影響があるかもしれませんね」
珍しく聞こえる理由が音階にある。他の有名な、誰でも耳にしたことのある曲の特性と似たものがあるという。
「ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲ~♪(ゲゲゲの鬼太郎の主題歌)とか。ちょっと不気味でしょ。アアア~渚のシンドバッド♪(ピンク・レディーの『渚のシンドバッド』)とか。両曲とも不思議で、不気味でちょっとエロチックな、何かが起きそうな違和感のある音=ミのフラットを使っている。ソトのバーモ ネフタリ♪の『タ』がミのフラット。そういう音楽的なギミック(仕掛け)が入ってますね」
ソトの応援歌を含め、ロッテの外国人の応援歌は面白いモノが多いという。実はさまざまなマニアックな原曲が使用されている。昨季本塁打王のグレゴリー・ポランコは名前が歌詞に出てこない。愛称の「エル・コーヒー♪」が声高らかに歌われる。
「原曲を調べたら元プロレスラーのキラー・カーンの登場曲に使用されていた『荒野の砂塵』です。(元ロッテ、ソフトバンクの)アルフレド・デスパイネのロッテ時代の応援歌は『月影のキューバ』っていう懐メロが原曲で、長調と短調が混ざるんです。外国人選手の曲は面白いですね」
日本人選手の応援歌にも、珍しいルーツをたどって来たものがある。「俺らは叫ぶ~♪」から始まる、あの曲だ。
「2000年代の福浦和也の応援歌の原曲は、韓国歌謡なんですよ。韓国語で『ヘビョヌロガヨ』、日本語で『浜辺へ行こう』という曲。実は日本のグループサウンズが韓国に行って演奏したものが韓国でカバーされた。日本海を行って来いして福浦の応援歌として戻ってきたんです。これだけで、『国境を渡る応援歌』とかいって、多分1ページぐらい書けると思いますよ。この1曲と言われれば、この20年間でいくと、福浦和也の応援歌が好きですね」(つづく)
◆スージー鈴木(すーじー・すずき) 1966年(昭41)11月26日生まれ。大阪府東大阪市出身。早大在学中にFM東京「東京ラジカルミステリーナイト」の「AUプロジェクト」に参加し、「スージー鈴木」の名でラジオデビュー。98年11月創刊の「野球小僧」で野球音楽評論家としてデビュー。現在はラジオ番組BAYFM「9の音粋」にレギュラー出演するなど活躍の場を広げている。







