「こら、あかんな。今年はやらん方がよかったんちゃうか」。そんな冗談とも嘆きともつかないような会話が大阪あるいは関西のそこかしこで交わされているのではないでしょうか。

コロナ禍にもめげず、プロ野球が開幕して10日が経過しました。無観客試合ではありますが、やはり、公式戦ともなるとムードが違う。この辺り、やはり興行のプロとして球界関係者には頭が下がります。

もちろん我々も報道という形で盛り上げているという自負も少しはあります。プロ野球を中心にし、世の中が明るい方向になればいいと思うものです。

だが、しかし。そんな中でこんなはずでは…と言う状況に陥っているのが阪神、オリックスの関西2球団です。野球ファンなら言うまでもない低迷ぶり。わずか3カードで言うのもどうかとは思いますが、いかにも弱い。そろって最下位独走中です。

阪神は開幕巨人戦に3連敗で最悪のスタートを切るとヤクルトで1勝2敗、そして昨季、相性のよかったDeNAにも1勝2敗と3カード連続負け越しで29日現在、借金5と苦しんでいます。

そしてオリックスはもっとひどい。連敗でスタートした21日の楽天戦で期待の山本由伸投手が好投して今季初勝利を上げましたが白星はそれだけ。23日からのロッテ6連戦に全部負けて、1勝8敗の借金7。

本拠地が広範囲にわたるパ・リーグは移動リスクを考え、2カード目からは同じ対戦が6試合続く変則シーズンです。実施前から6連勝、6連敗があるのでは…と言われていましたがもろに出た格好です。

昨季3位の阪神はボーアら新外国人が加入。課題の得点力不足を解消して飛躍が期待されました。オリックスも山岡に加え、山本、そして田嶋と投手力の充実があり、久しぶりに上位をうかがえるのではという見方もありました。

両球団は開幕前最後の練習試合3連戦を行いましたが結果は3試合連続引き分け。どちらも決め手に欠ける気配を感じさせていましたが、それがこんな形の開幕スタートになるとは。

名門校の多い高校野球で知られるように大阪を中心とした関西は野球どころです。野球ファンも多いし、熱い。かつて巨人原監督はそういう状況を受けて「球界の共通語は関西弁だろ」と言っていたこともあったそうです。

歴史ある阪神。そして今はなき近鉄バファローズの名も残すオリックス。なんとか巻き返して、せっかくの記念すべきシーズンを盛り上げてほしい。切に願います。