この日の“主役”は糸井嘉男だろう。3安打猛打賞に「三重殺」を招く勘違い? それでも3得点で阪神は勝った。これが本当のトリプル・スリーか? もちろん違うけれど、とにかく不思議な試合になった。
出だしはイヤなムード。右翼でスタメン出場の高山俊が1回、グラブに当てながら捕れない守備で先制点を許す。しかし中日には2失策に加え、記録に残らないミスも出た。結局、阪神は適時打なしで3点。4回にはこの日、最大の“見せ場”となった三重殺まで展開された。
これでよく勝てたな…と思うのだけれど、実は勝てる理由もあったかもしれない。それは三振の数ではないか。8回まで攻撃した阪神。24アウトのうち三振は6回に佐藤輝明が喫した1つのみだった。「1三振」は今季27試合目で最少だ。
ケースにもよるが一般に野球でよくないとされるのは「投手の四球」と「打者の三振」。これは誰でも知っている。共通するのは「何も起こらない」ことだ。投手は打たれても味方のうまいプレーが出てアウトにできるかもしれないし、打者はバットに当てれば相手に失策が出るかもしれないということだ。
なにしろ今季の阪神、三振が多い。この日で「209」。これはリーグ・ワーストだ。ちなみに12球団ワーストなのは日本ハムだが、それは置いといて。
阪神はここまでのチーム得点「76」もリーグ・ワーストである。「そら、そんなに三振してたら点も入らんで」という、誰が考えても分かる話である。
それでも、この日に限れば頑張った。三振が1つだけだったのに加え、いわゆる凡フライも4つだけ。とにかくゴロを転がしていった。本塁打になるならドンドン打ち上げてくれていいけれど、やはり野手の間を抜くヒットが基本だろう。
その意味でこの日は打線が何かを起こすためにしっかり打ったということか。「三重殺」は何か起こりすぎだけど。とにかく高山の放ったゴロの相手失策と糸原健斗の内野ゴロ2つで3得点。本塁打、適時打がなくても点は取れるぞというゲームだった。
「きれいな点の取り方じゃないけど、逆にこういう取り方が今まで少なかったんで。ある意味、いい攻撃ができたかなと思います」。指揮官・矢野燿大もそう振り返った。大事なのはこういう形を粘り強く続けていくことだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




