このキャンプ、指揮官・岡田彰布が力を入れるものの1つにチームプレー、具体的には投内連係がある。
打球に応じて投手、内野手がどこに送球し、どうアウトをとるかなど基本のプレーだ。どの走者を優先して刺すかなど、サインを伴う場合も。「守りの野球」を掲げる岡田はそこにじっくり取り組んでいる。
その中で前代未聞というと大げさだが、あまり見たことのない練習も行われている。投手が普通に投球した体(てい)でモーションを起こすが、実際には投げない。すると打席近くにいる守備コーチ・馬場敏史がボールを捕手のうしろに転がす。
振り向きざま、その球の行方を追った捕手は拾うと同時に本塁に走ってきた投手に送球する。細かく書いたが、要するに捕逸、暴投のバッテリーミスを想定しての動きだ。
シーズン中に起こることはあるが、それでもしょっちゅうというわけではない。それを想定して練習するのが面白い。自身もベンチ前まで転がった球を追い、懸命に動いていた梅野隆太郎に聞いてみた。
梅野 あんな練習はこれまでしたことがないですね。分からないけど、多分、監督の発案と思いますよ。ノックしている後ろで「次はボテボテのゴロ、打て」とか、結構、ボソボソと指示を出されています。
岡田の様子を含めて解説してくれた。それにしてもめったにないプレーの練習ではある。梅野自身も昨季、捕逸は1つだけ。守備率は9割9分9厘で、10割だったヤクルト中村恭平に次いで2位である。
しかしめったにないからこそ起こったときにあわてるのは事実。「備えあれば憂いなし」などと古い言葉も思い出す。さらに梅野は練習の狙いを自身の感性で説明した。
梅野 あれは捕手の練習のようで、実は投手がけっこう重要なんですよ。いまはコリジョン・ルールがあるからホームのカバー、タッチプレーは難しい。ヘタにベースをまたいだりなんかしたらケガの恐れもあるし。ああやって事前にやっておくのはいいことだと思います。監督の守備への意識は感じますね。
正捕手に起用されることが決まっている男は、岡田の目指す野球をそう実感した様子。基本を忠実に練習すれば単調になりがちな部分も出るかもしれない。だが、そんな中からも“実戦のにおい”は漂うのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




