最大のヒーローは文句なく渡辺諒だろう。出場選手登録されると即、4回の決勝ソロに巨人の反撃を止める6回の美技と攻守で目立った。佐藤輝明に代えて起用した指揮官・岡田彰布の采配が決まった格好である。

これで阪神は貯金4。ヤクルトと並んで首位タイに浮上だ。序盤とはいえ虎党は気分の悪いはずはない。このまま行ったれ。そんなムードが盛り上がる。

だけど、ここで考えてしまう。確かに渡辺諒はよかった。しかし佐藤輝はどうなる。就任時「佐藤輝は固定よ」と言い切っていた岡田の基本方針は11試合目にして覆ることになった。

もちろん「固定」は1つの理想である。その部分、岡田は「結果が出なかったらしょうがないやんか。理想と、そら、現実は違うよ、そら」と話した。選手起用は指揮官の専権事項だ。それはいいとして、問題は今後「佐藤輝をどうする」ということではないか。

先週の広島遠征時、阪神OBで元監督の真弓明信(日刊スポーツ評論家)とお茶を飲んだ。真弓は佐藤輝の状況をひどく心配。「いまの構えのままならどうだろうか」などと熱心に語ったものだ。

真弓にも選手起用に1つの「理想」がある。レギュラーを代えるときは1軍ベンチにいる控えの選手をその位置に入れるのではなく、ファームから代わりの選手を呼ぶというものだ。そして、そのレギュラー選手は2軍で調整しなおす。その方が、結局、チーム全体にとっていい結果をもたらすと考えるのだ。

真弓が佐藤輝についてそう言ったわけではないとしっかり書いておくが、いま、その「理想」が頭をよぎる。この試合、7回に代打で登場した佐藤輝だが3球三振と気配がない。

気になるのはそのメンタルだ。村上頌樹が7回まで完全投球をした12日、試合の締めくくりとなった延長10回の守りでちょっと考えにくい送球ミスをしていた。不調が守備にも影響したのか。精彩を欠いている。

14日以降、渡辺諒と佐藤輝の起用法について岡田は「ちょっと分からない」とめずらしく、はっきりとは言わなかった。もちろん、佐藤輝が長打1本を放つことで状況が変わる可能性はある。いずれにせよ佐藤輝の復活は悲願の「アレ」に向け、不可欠な要素だろう。とにかくチームが好調な間に「佐藤輝復活」のために有効な策を打ってほしい。強くそう思うのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)