「おお…。なかなか休ませられへんからのう…。あそこはのう」。虎番キャップの囲み取材が解けた甲子園通路。波に乗れないというか湿ってきた打線、その“要因”について指揮官・岡田彰布はそう嘆いた。熱心な虎党ならお気づきだろう。近本光司である。

日本を代表する右腕・オリックス山本由伸の前に2安打に抑え込まれた阪神打線。9回に2番手・山崎颯一郎から2四球を奪い、甲子園今季最多4万2625観衆を盛り上げたものの逆転はならなかった。

「塁に出ても2死からばっかりやったから。なにもできんかったな」。岡田が言う通り、山本の前に走者を出したのは4回2死、5回2死、満塁まで行った7回も2死から。これでは「采配で点を取る」仕掛けができないのも事実だ。

そんな奮わない打線の象徴は近本かもしれない。スロー・スターターとされた男が開幕から打ちまくり、チームを引っ張ってきた。だが6月に入って苦しんでいる。11試合を終え、42打数6安打の打率1割4分3厘と落ち込んできた。

打てない中「今季はそこを意識している」と語った四球は選び続けているのはこれまでも書いていることだ。しかし安打が出ないので落ち込んだ印象が強い。同じ淡路島出身の村上頌樹が投げる試合ではよく打っていたけれど、村上が「完投負け」した6日楽天戦に続き、2試合続けて安打なし。この日は四球での出塁もなかった。

「バットが出てけえへんからな。バットがな…」。近本の様子について、そう話した岡田。これまでと違う開幕だっただけに近本にはここに来て疲れがあるのかもしれない。そんな話に「休ませられん」と続けたのである。

これで交流戦は5勝7敗1分け、「借金2」となった。残りはオリックスと2つ、ソフトバンク3連戦の5試合だ。交流戦前、リーグ戦が好調で「貯金17」での突入だっただけに虎番キャップたちからは「5割でいい?」という質問も出たがそれに「5割はあかんわ」と答えた岡田だ。

ここでも貯金をつくろうと思えばこの5試合を「4勝1敗」以上で終えることが必要だ。セ・リーグでは2位DeNAが勝ってゲーム差は「3・5」に縮まった。もちろんすべての意味で勝負はこれからである。それでも「1番近本」の存在は不可欠。ここは復活を待ちたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対オリックス 9回表オリックス無死、近本は頓宮の中飛を好捕する(撮影・上山淳一)
阪神対オリックス 9回表オリックス無死、近本は頓宮の中飛を好捕する(撮影・上山淳一)