少しだけ懐かしいような気もする試合だった。

ほとんど“初物”の相手先発投手を打てず、打線がつながらない。終盤、主力選手の一発でファンの“ガス抜き”はしたけれど結果は完敗-。若い人は知らないだろうが90年代はこういう試合が多かった阪神である。

時代は変わり、Aクラスは当たり前、ここ3年で2度優勝と「黄金期」とも言える状況を迎えている現在の何と幸せなことよ。すでに優勝は決まっているし、竹田祐にしても次は打てるやろし、まあエエがな…という感じではある。

それでも、いろいろ考えさせられる試合ではあったかもしれない。もっと言えば、来たるべきポストシーズンの戦いでこれはやってはいけないかも…というシーンが出たゲームだったような気もする。

2回の攻撃はこの回先頭の大山悠輔が四球で出て、無死一塁。次打者・高寺望夢の初球、大山がスタートした。しかし、ファウル。その後、高寺は一塁への内野安打で出て、無死一、二塁に場面が変わった。

小幡竜平が右飛に倒れ、1死一、三塁。ここで8番・梅野隆太郎は初球、セーフティー・スクイズを敢行。これがファウルに。1-1になった3球目も同様の攻めに出たが、これもファウル。バントの名手でもある梅野だが、ここは決められなかった。

先日、掲載した「週間展望」の記事内でも触れられていたが、広島3連覇監督の緒方孝市(日刊スポーツ評論家)は「残り試合の間にスクイズなどの作戦はもう1度、チェックしておいた方がいい」と話す。短期決戦の難しさを知る経験者としての示唆だ。

指揮官・藤川球児もそのあたりは理解しているはず。だからこそ試したと思うが決められなかった。もちろん失敗を本番に生かせばいいのだし、大きな問題ではないが、そういうことは感じさせたのである。

緒方は「早めの継投策」もポイントに上げた。高橋遥人を見切ったタイミングがそれではなかったかもしれないが、救援で2イニングを投げた伊原陵人が本塁打で失点する場面は、本番では避けたい。

「あのセーフティー・スクイズは難しいですけどね。まあ、いろいろと課題が出た試合でしょう。まだ修正する時間はあるんで」-。総合コーチ・藤本敦士はそう言った。その通りで何より大事なのはミスから学ぶことである。(敬称略)

【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA DeNAに敗れ、厳しい表情を見せる阪神佐藤輝(撮影・前田充)
阪神対DeNA DeNAに敗れ、厳しい表情を見せる阪神佐藤輝(撮影・前田充)