あの配球はどうだったのか。梅野隆太郎に聞きたいことがあった。7日の巨人12回戦で坂本勇人に決勝打を浴びた高橋遥人の変化球。ベテラン相手だけに真っすぐで入っていればどうだったか。そんな見方は野球好きの中にあったと思う。こちらも少し、そう感じた。

「ベストの配球」。梅野は前日の敗戦後、そういう意味のことを言っていたようだ。本当だろうか。この巨人を下したこの試合後、あらためて梅野に問うてみたのである。結果論ではなく、真っすぐだったら…という思いはないか。

「まったく、ないです。遥人の一番、抑えてきているボールで勝負したので。後悔はないですよ。球種選択で言えば代打に初球、真っすぐで打たれた方が悔いが残ります」

わざわざ、こんなことを聞いたのは試合前、少しだけ梅野と話していたからでもある。「打率とかじゃないんですよね。やっぱり。打つところで打つっていうのは…」。梅野は大仕事をした坂本へ、真面目にリスペクトを込めた感想を漏らしていたのだ。

そんな梅野だからこそ、決意があった。この日、才木浩人を相手に2試合連続のスタメンマスクが決まっていたが、これは今季初だ。「絶対、やり返す」。その思いを胸に才木から岩崎優、ドリスをリードし、1失点で白星をもぎとった。

「すごく悔しかったんで。やり返すことができたのはよかった。才木は『ビジターではやられてる』と言ってたし、ピンチはあったけどゼロに抑えられたのはよかったですね。(8回に)いい当たりを(浦田俊輔に)取られたのは悔しかったですけど」。梅ちゃんとファンに愛される男ならではの笑顔を浮かべながら、話したのである。

繰り返すが自身初めてファームで開幕を迎えたベテランが大事な3連戦で2試合続けてスタメンマスクをかぶった意味は大きい。現状はメインの坂本誠志郎はもちろん、伏見寅威も復帰してくれば捕手層の厚さはいよいよ他球団に誇れるものになる。

それにしてもチーム、虎党を落ちつかせる勝利だろう。完勝で首位タイに復帰した。仮に9日に落としたとしても、この時点では大ごとにはならないはず。広島に連日、サヨナラ負けのヤクルトは疲れが出てきたか。10日からは甲子園でそのヤクルト戦だ。ここは落ち着いて、じっくりといきたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

巨人対阪神 5回裏、マウンドで言葉を交わす阪神先発才木浩人(右)と捕手梅野隆太郎(撮影・江口和貴)
巨人対阪神 5回裏、マウンドで言葉を交わす阪神先発才木浩人(右)と捕手梅野隆太郎(撮影・江口和貴)