重苦しい試合だ。雨の中、試合開始を31分も遅らせて始まったゲーム。すでに連盟管理試合となっているので球団の事情だけではないが、いずれにせよ日程を消化したい思いは強かったと思う。過去の経験から言わせてもらって、こういう試合は主催側が苦戦することが多いと思うが、まさにそういう展開になった。
広島・床田寛樹に対し、阪神打線は沈黙する。8回を4安打無失点に抑えられてしまう。守っては1人で2桁貯金をつくっている先発・高橋遥人が序盤から安打を許す展開。7回途中で降板し、後を受けた2番手・木下里都が粘れずに敗戦となったのである。
この展開を見ていて思い出したのは先日、広島3連覇監督・緒方孝市(日刊スポーツ評論家)と話していたことだ。万が一にも阪神が優勝を逃すとするなら-? という仮定に対し、緒方はこんな話をした。
「普段の野球ができなくなったときでしょう。打撃も守りも投手も。ここまで順調にやってきていても、大詰めで固くなり、それができなくなってしまうのはよくあることですから」
はたして阪神ナインは固かったし、それ以上に強く感じたのは広島のイキの良さだった。首位と最下位とは思えない、いや、だからこそか。失うもののない相手は猛然と向かってきた。阪神はそれにのみ込まれたという形だったかもしれない。
巨人が勝って、2ゲーム差に。8月末の直接対決で3連勝し、一時は5ゲーム差をつけていたことを考えればジリジリ迫られている印象は拭えない。ピンチと言えばピンチか。
それでも、と思う。真価を問われるのはここからではないのか、ということだ。残りは20試合。マジックが点灯しているとはいえ、ゲーム数を考えれば、あまり意味はないとも言える。
当たり前だが、ここを乗り越えないと連覇はないのだ。経験のないことが、そんなにラクなはずはないだろう。少々、追い込まれつつあるこの状況を打破してこそ、意味があると思う。
今季、名前を売った木下里都や工藤泰成もここから自分の投球ができるか。そして選手はもちろん、指揮官・藤川球児もここからが本当の勝負だろう。以前にも書いたけれどチームのムードを変えるのが指揮官の最大の仕事だ。それができるかどうか。広島戦はこれで9勝9敗。まず1つ勝ち越すことだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




