大逆転男がチームをセンバツ初勝利へ導く。21世紀枠で初出場の由利工(秋田)が21日、奈良・生駒市内で調整した。選手たちは約1時間、打撃練習やキャッチボールに汗を流した。昨秋の東北大会2回戦、9回表2死満塁で逆転の3点適時二塁打を放ち、同大会初勝利をたぐり寄せた木村裕太内野手(3年)には、ひときわ気迫が漂う。

 開幕直前の練習試合では、5戦3安打、打点ゼロと低調。「調子が出ない。チームに貢献したいのに…」ともどかしさを募らせる。だが、この日の打撃練習を通し、不調脱却へ好感触をつかんだ。「これまでは体が開きがちで打球がレフト方向にいってしまっていた。でも、きょうはそれを抑えながら振り、しっかりと右中間へ飛ぶようになった」と自信を見せた。

 チャンスにはめっぽう強い。昨秋の県大会中央地区大会。強豪・金足農との準決勝では、延長13回にサヨナラ適時二塁打を放った。「甲子園には、母が見に来る。かっこいいところを見せたい」。その絶好機に、たまった悔しさを晴らしてみせる。【神稔典】