秋季高校野球岩手県大会(15日開幕)の組み合わせ抽選会が7日、盛岡市内で行われた。大船渡の最速154キロエース右腕・佐々木朗希(2年)は、来春のセンバツ出場権獲得に向けて執念を燃やす。今夏に自身の登板機会がなく3回戦敗退した悔しさを糧に、投手としての持久力も急成長中。1回戦では今夏の初戦(2回戦)で大勝した盛岡三との再戦が決定した。まずは、上位3校が出場する東北大会(10月12日開幕、秋田)出場に向けて、怪物の進化を見せつける。

最高学年になった佐々木の秋が本格的に発進する。怪物右腕の全国デビューには、勝利を重ねるしか道はない。背番号も「20」から「1」に。沿岸南地区予選では全3戦に先発し、すべてコールド勝ち。高田との代表決定戦では初回に3失点する課題もあったが、6者連続を含む7回15奪三振。「センバツに出て、良い戦いがしたい。まわりに頼らずチームを引っ張っていきたい」と言葉にも力強さを増した。

佐々木を中心に「センバツ出場をつかむために、1人1人が役割を自覚しよう」と一致団結し、新チームのスタートを切った。個々の長所を伸ばし、勝利にもこだわる姿勢をより強固に。佐々木にとっては「エースとして投げ抜くこと」を仲間に誓った。下半身中心の筋力トレーニングなども酷暑の中で継続。制球力の向上でストライク先行の投球も身についてきた。圧倒的な強さで地区第1代表となり、強豪に挑む基盤は整いつつある。

今夏初戦で盛岡三の好投手・西舘洸希と投げ合い、11-2の好発進。今大会初戦も同じ相手となり、成長度合を測るには絶好の舞台だ。体力面の不安もあって同3回戦を温存され、ボート部からの助っ人2人を含む11人の西和賀に、まさかの敗退を喫した悔しさだけは繰り返さすわけにはいかない。

主将の千葉宗幸内野手(2年)も「先輩たちへの恩返しのためにもセンバツに行こうとやってきた」と力を込めた。佐々木のつらい練習を継続する力や、勝利への強い意志の急成長も認めた。「彼がいることで、みんなのモチベーションも上がる。でも、クリーンアップに本塁打を打てる選手もいるし、塁をためたり、走ったり、役割徹底もできてきている」。“1人だけのチーム”脱却の手応えも得つつある。

「朗希」の名は、幼少期に兄琉希さんが夢中になっていた「百獣戦隊ガオレンジャー」に登場する絶大な戦闘力の悪役「狼鬼(ロウキ)」から命名された。朗らかだけでなく、マウンド上ではオオカミのような気迫が必要不可欠。上位進出なら「21世紀枠」の岩手県推薦校に名前が挙がる可能性もある。金足農エース吉田輝星にも続く本気度も上がってきた。【鎌田直秀】