「ガテン系球児」が「ガマン系球児」に成長だ! 二本松工が4-3で新チーム公式戦初勝利を挙げ、昨秋の支部予選1回戦でも敗れていた福島西にリベンジを果たした。都市システム科の同級生として土木学を専攻するエース左腕・菅野海斗(3年)と主将の鈴木偵弘外野手(3年)が投打で粘り強さを披露。担任でもある浅尾哲哉監督(48)に求められてきた我慢強さを体現し、15年春以来の県大会出場に王手をかけた。

「1点差で勝ち続ける」を合言葉に、最後まで我慢を続けた。9回裏に1点差に詰め寄られ、なおも2死三塁。エース菅野海が思い切って内角直球を投げきった。左翼への飛球で、想定通りの4-3。「下半身も強くなったし、最後の球もキレていると感じたので、外野は越えないと思った。泣きそうなくらい、うれしい」。昨秋の支部予選では2連敗だっただけに、笑顔で1勝をかみしめた。

163センチ、61キロと小柄だが、仲間の信頼は厚い。ベンチ入りメンバーにも8人いる都市システム科でも先頭に立って土木を学ぶ。ショベルカーの運転実習が得意科目。将来は土木科の公務員を夢見て、今年はクレーンやロードローラーの技術免許取得にも挑む努力家だ。手先の器用さは野球も同様。今春に習得したばかりのナックルカーブも駆使し、10安打されても集中力を切らさなかった。

「3番右翼」の鈴木偵主将も、初回に中越え三塁打を放つなど存在感を示した。クラスでも学級委員を務めるなど、まとめ役。「みんな緊張はしていたけれど『焦らず自信を持ってやろう』と徹底できました」。組み合わせ決定後は、練習試合の相手を昨秋に1点差負けした福島西に見立ててきた。「1点差で勝てたのは、やってきたことに自信も持てる」。大手ゼネコンに就職して現場監督を務める夢の前に、県大会出場の目標もかなえるつもりだ。

勝てば3年ぶりの県切符が決まる27日の2回戦は、福島東と対戦。同主将は「次も1点差で勝ちます」と汗をぬぐった。【鎌田直秀】