15年夏に甲子園出場した大阪偕星学園に、高校球界初のドミニカ共和国からの留学生コンビがいる。ダビット・バチスタ・モレノ外野手(2年)と、ワーネル・マニュエル・リンコーン・デ・ラ・クルーズ投手(2年)。モレノ外野手は18日開幕の大阪府独自大会のメンバーにも登録されており、19日の近大泉州との1回戦(久宝寺)で公式戦デビューする可能性がある。

   ◇   ◇   ◇

モレノが中堅方向へ強烈な2安打を放ち、猛アピールした。大阪独自大会初戦となる近大泉州戦の4日前。出番を競い合うシート打撃で178センチ、92キロが躍動した。来日後に体重が20キロ以上も増え、打球の力強さも増している。

日本で野球を学びたいと2人はドミニカ共和国から留学した。18年11月に来日し、大阪偕星学園には昨年6月に入学。ドミニカ共和国から日本の高校野球部員となる留学生は初めてで、母国の日本大使館関係者も喜んでいる。

山本皙(せき)監督(52)は「2人ともドミニカ共和国でいうと普通か、それよりも下くらいのレベル」と話す。13年の第3回WBC優勝国で、多くのメジャーリーガーを排出。阪神マルテなど日本でプレーする選手も多く、高いレベルの若い選手はメジャーがすでに目をつけているという。

モレノはアッパースイングで体が開くクセを矯正。直球には強く、チームでも屈指の長距離砲に成長している。「来年は4番を打てるように」と、現在は苦手な変化球打ちを特訓中だ。独自大会のメンバーから漏れた投手のリンコーンは、アーム式だった投げ方から体全体を使うように変え、110キロ台だった直球が140キロにまでアップした。

新型コロナウイルス感染拡大で寮が閉鎖。母国に帰ることもできなかった2人は徳島・鳴門市で社会人徳島アストロズなどを運営する鳴門プライベートジムの室内練習場で個人練習を続けてきた。夢は大きく「プロ野球に入って活躍したい」と声をそろえる。野球に対して貪欲で、日本語も上達が早い。山本監督は「しっかり日本で勉強してくれたらいい。2人とも人間的に真面目でいい子。ドミニカ共和国との架け橋になってほしい」と期待は大きい。モレノは近大泉州戦でデビューする可能性もある。進化の夏に注目だ。【石橋隆雄】

◆ダビット・バチスタ・モレノ 2003年12月2日ドミニカ共和国生まれ。178センチ、92キロ。右投げ右打ち。外野は左翼、右翼などを守る。8人きょうだいの一番上。来日後、朝、昼、夜以外にも食べ続け体を大きくした。日本に来て驚いたことは「非常にきれいな国」。愛称は「ダビ」。

◆ワーネル・マニュエル・リンコーン・デ・ラ・クルーズ 2003年9月17日、ドミニカ共和国生まれ。173センチ、70キロ。現在の最速は141キロ。カーブを習得中。右投げ右打ち。7人きょうだいの4番目。日本で驚いたことは「ルール、規律が多く、それをみんなが守っていること」。愛称は「ワナ」