報徳学園が西宮今津に7回コールド勝ちし、5回戦に進んだ。プロ注目ながら進学希望の右腕坂口翔颯(かすが、3年)は先発で6回1失点、打っては高校通算2本目、公式戦初本塁打でチームに貢献した。

7回表1死。カウント2-2から、坂口が高めのスライダーをフルスイング、左翼席にソロ本塁打をたたき込んだ。「ベンチから“三振してもええぞ”という声が聞こえて、思い切り振りました」。9番打者。ほとんど縁のないダイヤモンド1周だ。白い歯を見せて本塁に帰ってきた。

一方、本業の投球は苦しかった。6回を1失点でしのいだが、6安打、2四死球。リリースポイント、左足の踏み込みが安定せず、真っすぐが高めに浮いた。変化球も決まらなかった。

「ボールが先行して、わかりやすい配球になった。(部長の)礒部先生に“ヒット数は気にせず、最少失点で勝つ投球をしろ”と言われて、それだけを意識した」。

投球フォームに悪癖があった。左足を踏み込む際、右膝が深く折れる。“コロナ自粛”の期間、河川敷のキャッチボールで左足のステップを足半分、十数センチ狭める動作を繰り返した。理想のイメージはソフトバンク千賀。最速142キロだが「昨秋は全力で投げて、という感じで140キロでした。今は楽に投げて、球速のアベレージが上がった気がします」とフォーム改造に成功した手応えがあるが、それをこの日も出し切ることができなかった。

兵庫大会は天候不順による日程変更の末、7日の5回戦で“打ち切り”になる。報徳学園は市尼崎戦がラストマッチだ。坂口は「中1日ですが、次が高校最後の試合。今日はみんなに助けてもらったけど、みんなを助けるのがエース。次こそ、そういう投球がしたいです」。本領発揮で高校3年間を締めくくる。