明石商が延長11回タイブレークの末、神戸第一にサヨナラで敗れ、3年生全員で戦った夏が終わった。

「最後の試合を(甲子園で)2桁番号のやつに経験させたかった」という狭間善徳監督(56)の考えもあり、来田涼斗外野手、中森俊介投手(ともに3年)はベンチスタート。

2点を追う9回表、敵失などで同点とし延長戦へ。10回から今秋ドラフト候補の中森俊介投手(3年)が登板。昨夏以来となる150キロをマークしたが、勝ち越した直後の延長11回裏、1死満塁から押し出し四球で同点。なお満塁から二塁内野安打でサヨナラ負けを喫した。エースは土煙の中で顔をゆがめた。「ヒットも押し出し四球もすべて自分のしてしまった。すべて自分のしてしまったことが点に絡んでいる」と唇をかんだ。6回から代打で出場し、守備に就いた来田は、延長10回の打席で右飛に倒れ「球が甘かったので少し力が入った」と好機を逃し反省した。

「全員野球」で戦った、真剣勝負の夏だった。今大会は試合ごとにベンチ入りメンバーが変更可能なため、3年生全員が出場できるよう試合ごとに割り振った。この日の最終戦は、最後の1人だった下山峻平外野手が「4番右翼」で先発。狭間監督は「思い出作りにするつもりにはなかった。みんなが必死になって、プレッシャーの中でやれてるというのは1試合1試合感じた。出ないやつのために、負けるわけにはいかないんだと」と完走した夏を振り返った。

残すは、甲子園での交流試合。16日、桐生第一(群馬)との正真正銘のラストゲームが控える。中森は「この悔しさを交流試合にぶつけたい」、来田も「気持ちは切り替えるしかない。勝つことだけ意識してやりたい」と最後の舞台へ視線を向けた。