2時間47分の激闘を終えた叡明・田口遼平内野手(3年)は「高校野球の本質は勝ち負けじゃない」と口にした。幼少期の背番号6は強いチームが好きだった。幼稚園のお絵かきの時間には、まだ漢字が分からないのにもかかわらず、見よう見まねで浦和学院のメンバー表を書き写していたほどだ。中学3年生の時には、複数校から声をかけられたが「強いだけのチームじゃ、仮に試合に出られなかったら面白くない」と、甲子園出場経験のない地元越谷市の叡明を選んだ。くしくも、そこで指揮を執っていたのは、かつて浦和学院で打撃コーチを務めた中村要監督(51)だった。

「3番遊撃」で出場し、1点を追う3回からマウンドに上がった。打っては4打数2安打2打点。11回には一時勝ち越しとなる適時打を放った。同点で迎えた12回裏無死一、二塁、バント処理で一塁への送球が乱れてサヨナラ負け。内野で立ち尽くした。

初勝利はならずも「スター選手がいない中で初出場できたことは、他のチームにも希望を与えられた」ときっぱり。中村監督のもと「物事の本質を捉えよ」というスローガンを胸に駆け抜けた3年間だった。「自分たちにできることをしっかりやってきた結果、甲子園にたどり着けた」。高校野球の本質を捉えた大黒柱は、胸を張って地元に帰る。【山本佳央】