放課後はグラウンドで汗を流し、夜は受験勉強のため机に向かう。高校野球に打ち込む球児たちの中には、勉学との両立に挑む「進学校の球児たち」がいる。甲子園常連校とは異なる環境の中で、限られた時間をやりくりしながら白球を追う日々。その先に見据える未来とは-。
◇ ◇ ◇
県浦和は徹底した“自主性”で、春季埼玉大会で本庄第一にサヨナラ勝ちで粘り勝ち。60年ぶりに夏のシード権をつかんだ。3回戦での強豪・浦和学院と対戦し、敗戦したものの3-9と善戦。自信をもった選手たちは、進学校のプライドを胸に夏に向かう。
偏差値は約72。県内トップの進学校だ。主将の尾崎慎之助捕手(3年)は「進学校でみんないい頭脳を持っているのが僕らの1番の財産」と自信を見せる。練習は教訓のの下、自主性を重んじ“練習長”を務める佐藤嶺内野手(3年)がメニューを作成。尾崎らと話し合った上で最終決定。その後もミーティングを重ね、選手同士で意見を出しブラッシュアップ。丸中健嗣監督(36)が軌道修正する。
昨年からの主力選手が残り、秋2回戦敗退も手応えをつかむと、この冬の練習に勝負をかけた。いつもは朝7時から8時頃まで勉強し、全体練習は16時から19時30分まで。練習が終わると再び校舎に戻り21時まで自主学習する。しかし、このままでは練習量が足りない。選手たちは「“練習を自由にやる日”を作って欲しい」と丸中監督に直訴した。「今までチームとしてウェイトの時間を約30分取っていた。それだけでは強豪校に対抗できない。週に2回、全体練習を少し短くしてもらい、自分で足りない練習に当てる時間にしてはどうか、と思ったんです」と、尾崎。各自、ウエートや個人練習に力を入れ力をつけた。丸中監督は「自分たちで決めたことに対する強さは他校さんよりもかなり強いと実感しています」。責任をもって最後まで貫く力が、成長を後押し。ウエートも体がひとまわり大きく成長。プレーもそれぞれ弱点を克服し、攻めた守備、攻撃、走塁。春を迎え、自信を持ってプレーする選手たちの姿があった。
この冬の期間後、選手たちが口にした目標は「今年の夏は優勝したい」だった。丸中監督は「正直、驚きました。去年にはなかった言葉です」。選手たちの顔はマジメだ。冬、それだけ練習をしてきた自信があるからだ。尾崎は「進学校だからといってなめられたくない。常にチャレンジャーの精神を持ってどんな相手にも挑んでいく。それが『浦高プライド』です」と、胸を張る。今夏、浦高旋風を起こす。【保坂淑子】

