雨にぬれたマウンドで最後の空振り三振を奪うと、花咲徳栄のエース黒川凌大投手(3年)は何度も拳を握り、歓喜の輪の中で涙を流した。2年ぶり9度目の夏の甲子園出場を決め、16年以来10年ぶりの春夏連続出場を果たした。

秋、春に続く3季連続の浦和学院との顔合わせ。準決勝の昌平戦で143球を投げ抜き、中1日で先発した右腕は「春が終わってからずっと『浦学戦はお前でいく』と言われていた。このためにやってきた」と覚悟を胸にマウンドへ上がった。3回に先制を許しても「後半勝負」と崩れず、打線の逆転を呼び込み、雨脚が強まる中でも9回9安打3失点、8奪三振、123球で完投した。先発した全試合を1人で投げ切り、エースの責任を果たした。

センバツでの逆転負けを糧に磨いたのはメンタルだった。帽子のつばの裏には、85年アジア選手権72キロ級で金メダルを獲得した柔道家の母琴美さん(58)から贈られた「大恥をかいてこい!」の言葉。「ピンチでも冷静に」と言い聞かせ、成長した姿を示した。

岩井隆監督(56)も「黒川は限界が来ていたが、最後までエースだから絶対代えないと約束していた。よく投げ切ってくれた」とたたえた。歓喜の涙を流した最速148キロ右腕は「甲子園で優勝したい」と聖地を見据えた。【会田京叶】

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