第108回全国高校野球選手権大会(8月5日開幕、甲子園)神奈川大会決勝で、横浜が桐光学園に勝利し、県勢初の4季連続甲子園出場を果たした。22度目の制覇で神奈川大会の史上最多優勝回数を更新。県内連勝記録を「39」に伸ばした。最速157キロ右腕、織田翔希投手(3年)が「令和の怪物」と呼ぶにふさわしい6安打1失点完投勝利。打線も12安打11得点と王者らしい戦いぶりで圧倒した。次は全国の頂点をつかみに行く。
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“怪物”の目に涙が浮かんだ。織田は9回2死となりリミッターを外した。自己最速タイ157キロを2球記録。ただ、一ゴロのベースカバーの際に左足を痛め、内野安打にもなった。それでも「自分がケガの時も後輩たちがつないでくれた。このバトンはしっかりゴールまで届けたい」と、次の打者を151キロの真っすぐで打ち取り両手でガッツポーズ。最後は気力だけで投げきった。「言葉じゃ表せないぐらい幸せな時間でした。すごくうれしかった」。チームメートに両脇を抱えられながら、スタンドに笑顔であいさつした。
志願のマウンドだった。「悔いのない夏にしたかった」。前日、村田監督に「絶対に投げたいです」と直訴。初回から150キロ超えを連発した。2日前に慶応との準決勝で84球を投げたばかり。脅威のスタミナで6安打1失点で完投した。
プレッシャーに押しつぶされそうだった。「絶対にチームを負けさせられない」。ドラフト候補として一挙手一投足に注目が集まる。「春先、伸び悩んだと思います」と、胸の内を明かした。今春センバツでは初戦で神村学園に敗退。何をやってもうまくいかなかった。「1年生の頃は何も考えずに投げていて楽しかった。今は周りを気にしている。自分の思ったようにやろうと思いました」。原点回帰で気持ちのベクトルを己に向け、春の関東大会優勝につなげた。「これが自分の殻を破るきっかけになりました」。チームのために投げればいい。それだけを考えて夏を迎えた。
エースと認められる存在を目指した。今年から1人で朝練習を始めた。平日は5時30分。土日は4時に起き、寮から長浜グラウンドの先にある公園まで歩く。公園内を約1時間歩き、雲梯(うんてい)などの遊具を使いトレーニングした。「子どもって無意識で遊ぶ中で、体の動かし方を学ぶ。たまに滑り台で遊んだり(笑い)」。遊び感覚で毎日体を動かす。「素直に尊敬。すごいと思います」と岸瑛人捕手(3年)。努力で仲間の信頼をつかんだ。
今大会、チーム全員でそろえたTシャツの胸にはヒマワリの模様が描かれている。村田浩明監督(40)が「ヒマワリのように明るくこの夏を戦おう」と発案した。高山大輝部長(35)が続ける。「ヒマワリの花言葉『情熱』をもってこの夏を迎えよう」。「全戦全力」で戦いきり、笑顔の優勝をつかんだ。甲子園の頂点も“チーム横浜”は笑顔で目指す。【保坂淑子】
◆横浜・村田浩明監督「決勝の1点というのは相手にとって2点、3点と重みのある点数になるのはこの6年間、決勝に行かせてもらって学んだことです。その中で、相手よりも先に取るという形が決勝でもできたのが非常に大きかったかなと思います」
◆横浜・池田聖摩内野手「うまく走塁を絡めたり、初回から得点できたのがよかった。織田が気力だけで投げてくれて、守備のリズムもよかった。うれしい思いで一杯です」
◆横浜 1942年(昭17)創立の私立校。生徒数2539人(女子1409人)。野球部は46年創部で部員数67人。甲子園出場は春18度、夏22度目。主な卒業生は元西武松坂大輔、中日涌井秀章、DeNA筒香嘉智、ソフトバンク近藤健介ら。所在地は横浜市金沢区能見台通46の1。葛蔵造校長。

